訳あり不動産の売り方

共有持分だけを売る方法と注意点

内容の確認日: 2026年11月2日

共有名義の不動産でも、自分の持分だけなら、他の共有者の同意なしで売れます。ただし売れることと、納得できる価格で売れることは別です。

この記事は、民法の条文と不動産会社の公開記事をもとに、持分だけを売る場合と全体を売る場合の違いを整理します。個別の事情は弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談してください。

持分だけを売るとき、同意は要らない

民法206条は、所有者は法令の制限内で自由に所有物を処分できると定めています。共有持分も所有権の一部です。自分の持分は自分の判断で売れます。アットホームと辻・本郷Naviの記事も、持分だけの売却に他の共有者の同意は不要としています。

公園のそばに低層の住宅が並ぶ東京の住宅地
写真: Ximonic (Simo Räsänen) / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

他の共有者への通知義務も、定められていないと説明されています。ただし辻・本郷Naviは、トラブルを防ぐために事前に説明するのが望ましいとしています。

買主は、他の共有者と一つの不動産を共有することになります。そのため持分だけの買主は限られ、売りにくいと説明されています。

民法249条は、各共有者は共有物の全部について、持分に応じた使用ができると定めています。持分が小さくても、建物の一部だけを自分のものにできるわけではありません。共有物を使う共有者は、別段の合意がなければ、自分の持分を超える使用の対価を他の共有者に支払う義務を負います(249条2項)。

全体を売るには全員の合意。取れないときの手段

不動産全体の売却には、共有者全員の同意が必要だと各社の記事は説明しています。民法251条1項は、共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が必要と定めています。一方、252条1項は、管理に関する事項は持分の価格の過半数で決めるとしています。

東京地方裁判所立川支部の建物
写真: Kakidai / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

合意が取れないときのために、民法には次の手段があります。

表は左右に動かして読めます。

場面条文内容
共有をやめたい256条各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。5年以内の不分割の契約は有効です。
協議がまとまらない258条裁判所に分割を請求できます。現物分割や代償金のほか、分割が難しいときは競売を命じることもできます。
共有者の所在が分からない262条の2裁判所の裁判で、所在等不明共有者の持分を取得できます。取得した人は時価相当額を支払う義務を負います。分割や遺産分割の請求があり、他の共有者が異議を届け出ると使えません。
共有者の所在が分からない262条の3他の共有者全員が持分を譲渡することを条件に、不明共有者の持分も一緒に譲渡する権限を得られます。不明共有者は、持分の時価相当額の支払いを請求できます。

相続で得た持分には、別の定めがあります。258条の2は、相続開始から10年を経過すると、一定の条件のもとで分割ができると定めています。262条の2と262条の3も、相続財産に属する持分は10年を経過していないと使えない場合があります。

持分買取と全体売却の比較

持分を買取業者に売る場合と、全員で全体を売る場合を比べます。数字は各社の説明です。

戸建て住宅が並ぶ住宅地
写真: Peka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

項目持分を買取業者へ全体を仲介で
共有者の同意不要全員の同意が必要
期間条件がまとまれば数日から数週間の場合もある数か月以上かかることもある
仲介手数料かからないとされるかかる
契約不適合責任免除されるケースが多い負うケースがある
価格相場より低くなりやすい市場価格に近づく

買取業者のほかに、他の共有者に売る方法もあります。ヨシカズノモリのコラムは、相手に買う意思があって合意できれば、適正な価格を期待できるとしています。ただし共有者同士の関係と資金力に左右されます。

価格の数字は資料で揺れています。ヨシカズノモリのコラムは、専門業者への売却は市場価格の2分の1から3分の1としています。同じ記事は、市場価格に持分割合をかけ、さらに半分にした額という目安も示しています。アットホームの記事は、相場の半分以下で売ってしまった例も多いと注意しています。

どちらも、実際に提示される金額を保証する数字ではありません。持分は取引事例が少ないため、1社の提示額だけでは高いか低いか判断できません。

売る前の確認項目と、売ったあとに起きること

売る前に確認することを挙げます。

さいたま地方法務局の建物
写真: Ebiebi2 / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)
  • 自分の持分の割合と、不動産全体の評価額。登記事項証明書で確かめます。
  • 買取業者が宅地建物取引業の免許を持つか。国土交通省のデータベースで調べられます。
  • 行政処分の歴がないか。国土交通省のネガティブ情報検索サイトで調べられます。
  • 複数社の査定があるか。査定の根拠を説明してもらえるか。
  • 契約を急がされていないか。
  • 所有権移転登記と代金の支払いが同時か。契約解除の条件や追加費用はあるか。
  • 税金。辻・本郷Naviは、譲渡所得税の税率を、売った年の1月1日時点の所有期間が5年以下で合計39.63%、5年超で合計20.315%と記載しています。自分の場合の金額は税理士に確認してください。

売ったあとに起きることも、各社の記事が挙げています。買取業者が、他の共有者へ持分の購入や売却を持ちかけることがあります。関係が悪化する場合があります。共有者が不動産を使っているときは、業者から賃料を請求されることもあります。売却に応じない共有者がいると、分割請求から競売になる場合もあります。

出典

確認日: 2026年11月2日。法令や各社の記事は更新されることがあります。

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