事故物件の買取業者に査定を頼む手順と比べる項目 免許番号の確かめ方
事故物件や訳あり物件の買取業者に査定を頼むときは、会社の宅地建物取引業の免許を確かめてから、買取の条件を並べて比べます。査定そのものは問い合わせや書類で足りることが多く、先に免許と条件を見ておくと、あとで困りにくくなります。
買取と仲介は、買主が違います。買取は不動産会社が買主になり、仲介は不動産会社が買主を探します。この記事では、査定を頼む順番と、比べる項目を整理します。この記事は一般的な情報で、個別の判断は弁護士や宅地建物取引士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
買取と仲介のちがい

買取は、不動産会社が自分で物件を買う取引です。買主が決まっているため、買主を探す時間はかかりません。仲介は、不動産会社が売主と買主のあいだに入る取引です。買主が見つかるまで、売れる時期は決まりません。
報酬の考え方も違います。国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号。令和6年6月21日に改正)は、宅地建物取引業者が売買の媒介と代理で受け取れる報酬の上限を定めています。媒介の上限は、代金(消費税を除く)を次のように区分して計算し、合計した額以内です。消費税等を含む額です。
- 200万円以下の部分: 5.5%
- 200万円を超え400万円以下の部分: 4.4%
- 400万円を超える部分: 3.3%
たとえば代金が1,000万円なら、11万円と8.8万円と19.8万円を足して、上限は39.6万円です。代金が800万円以下の空き家などには、費用を勘案して上限を超えて受け取れる特例があります。その場合も、依頼者から受ける額は30万円の1.1倍(33万円)を超えてはならないと告示に書かれています。
この告示は、媒介と代理の報酬を定めるものです。買取で報酬や手数料がどう扱われるかは、告示からは読み取れません。買取の見積書に手数料の項目があるかどうかは、各社に書面で確かめます。
買取のほうが早く現金になる場合がある一方、買取額は仲介で売れそうな額より低くなることがあります。どちらが合うかは、物件の状態と急ぐ事情で決まります。事故物件の告知の範囲は、告知義務の記事で説明しています。
免許番号を国土交通省の検索で確かめる

不動産を売り買いする業者は、宅地建物取引業の免許が必要です。国土交通省の案内では、免許は2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣、1つの都道府県だけの場合は都道府県知事が出します。有効期間は5年で、続けるには更新が要ります。
国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、宅建業者を調べられます。商号または名称、免許番号、現在地(都道府県)で検索できる画面です。確かめる手順は次のとおりです。
- 会社の公式サイトで、会社概要のページを開く。
- 商号、所在地、免許番号を控える。
- 国土交通省の検索システムで、商号か免許番号を入れて検索する。
- 商号、所在地、免許権者が公式サイトと合っているか見る。
免許番号の括弧内の数字の意味は、今回、国土交通省の資料で確かめられませんでした。書かれた番号が検索結果と合うかを見る使い方にとどめます。公式サイトに免許番号が見当たらない会社は、問い合わせて教えてもらいます。教えてもらえない場合は、その会社を外す理由になります。
宅建業の免許があることは、取引の条件がよいことまでは示しません。免許の確認は、比べる前の入口です。
査定を頼む前に手元にそろえるもの

査定は、情報が多いほど具体的になります。次のものを手元に置いて、問い合わせの画面や電話で伝えます。
- 所在地(地番か住居表示)、土地と建物の広さ
- 建物の種類(一戸建て・マンション・アパート一棟など)と築年数
- 物件に起きたこと(死亡の経緯、発生した時期、特殊清掃や修繕の有無)
- 残っている家財の量
- 権利の状態(名義人、相続が済んでいるか、共有者がいるか、抵当権が付いているか)
- 急ぐ期限(固定資産税の納期、相続税の申告期限など)
名義が亡くなった方のままの場合は、相続登記が必要になります。相続登記は、相続を知った日から3年以内の申請が法律で義務になっています。実家の場合の進め方は、孤独死があった実家を売る記事にまとめました。共有の持分だけを売る場合は、共有持分の記事が参考になります。
事故の事情は、正直に伝えます。伝えた内容と実際が違うと、契約のあとで問題になるおそれがあります。
比べる項目を表にする

2〜3社に同じ情報を伝え、返ってきた内容を同じ表に書き写します。金額だけでなく、条件を並べるのがこの表の目的です。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 買取の対象 | 自分の物件の種類が対象か。事故の内容、築年数、再建築不可、共有持分などで断られる場合がないか |
| 対応地域 | 物件の所在地が対応地域に入るか。公式サイトの記載と、問い合わせた時の回答が同じか |
| 無料の範囲 | 無料なのは、机上の査定か、現地の訪問か、買取の提示までか。断ったときに費用がかかるか |
| 査定額の内訳 | 家財の片付け、特殊清掃、測量、登記の費用を、買取額から引くのか、会社が持つのか |
| 契約の条件 | 契約不適合責任をどう扱うか。契約書の案を事前に見せてもらえるか |
| 時期 | 査定から契約まで、契約から入金までの日数 |
| 免許 | 国土交通省の検索結果と、公式サイトの記載が合うか |
公式サイトに書いてある内容は、サイトの記載を根拠に表へ書きます。電話や面談で聞いた内容は、メールなどの文字で残してもらいます。後から確かめられる形にしておくと、会社どうしの違いも見えやすくなります。
査定額が大きく違う場合は、内訳の違いが理由のことがあります。たとえば、片付けの費用を引いた額と、引く前の額は比べられません。同じ前提にそろえてから比べます。
断るときは、理由を長く説明する必要はありません。条件が合わなかったと伝えれば足ります。契約の前なら、断っても不利益が出ないかは、最初の問い合わせで聞いておきます。
契約の前に確かめること

条件を絞ったら、契約の前に次の点を確かめます。
- 買主はその会社自身か、転売先を探す形か。契約書の買主の欄で分かります。
- 重要事項の説明の書面を受け取り、読み合わせをしたか。
- 引き渡しの日と、入金の日が書かれているか。
- 引き渡したあとに、売主が負う責任の範囲。
- 解約するときの条件と、違約金の有無。
契約書の内容に不安があるときは、弁護士や、別の宅地建物取引士に見てもらいます。
用意した書類や、聞いた内容は、契約が済むまで保管します。事故物件の売却は、後から事情の説明を求められることがあるためです。
道路に接していない、私道の持分がないなど、事故以外の理由で買い手がつきにくい物件もあります。そのような場合は、再建築不可の記事や私道の持分の記事も合わせてご覧ください。
出典
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、令和6年6月21日国土交通省告示第949号による改正後) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf
- 国土交通省「宅地建物取引の免許について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000242.html
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(宅地建物取引業者)」 https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/takkenKensaku.do
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
いずれも2026年11月4日に確認しました。個々の買取会社の対象物件や対応地域は、各社の公式サイトで確かめてください。