訳あり不動産の売り方

管理不全空家・特定空家になった実家を売るとき 勧告で住宅用地特例が外れる仕組みと売り方

内容の確認日: 2026年11月4日

管理が行き届かない実家も、売ること自体は法律で禁じられていません。ただし、2023年12月13日に施行された改正空家法では、市町村から「管理不全空家等」に勧告を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。勧告は、指導をしても改善されないときに出されます。

売って所有者が変わると、国土交通省のガイドラインは、特定空家等について、新しい所有者にあらためて助言・指導から手続きを進める扱いを示しています。この記事は一般的な情報で、個別の判断は市町村の空き家担当窓口や不動産会社、税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

管理不全空家等と特定空家等の違い

草に覆われた空き家
写真: Kuroshio no Neko / CC BY 4.0(Wikimedia Commons)

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)は、居住その他の使用がされていないことが常態の建物とその敷地を「空家等」と呼びます。2023年の改正で、次の2段階になりました。

  • 特定空家等(第2条第2項): そのまま放置すれば倒壊などで著しく保安上危険となるおそれのある状態や、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、景観を著しく損なっている状態などの空家等です。
  • 管理不全空家等(第13条第1項): 適切な管理が行われていないことで、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態の空家等です。

国土交通省のガイドラインの概要資料は、判断の参考になる状態の例を並べています。

表は左右に動かして読めます。

項目特定空家等の例管理不全空家等の例
建物倒壊のおそれがあるほどの著しい傾斜構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食など
立木倒壊のおそれがあるほどの著しい傾斜伐採や補強がされておらず、腐朽が認められる状態
屋根・外装材剥落または脱落など破損、またはこれらの支持部材の破損、腐食など
排水設備排水設備からの汚水等の流出など排水設備の破損など
衛生著しく多数の蚊・ねずみ等の発生など常態的な水たまりや多量の腐敗したごみが敷地に認められる状態

資料には、この例によらない場合も、個別の事案に応じて適切に判断すると書かれています。自分の家がどちらに当たるかは、市町村が決めます。心配なときは、市町村の空き家担当窓口に相談します。

勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる

使用済みのノートパソコン
写真: André Karwath aka Aka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

空家法第13条は、管理不全空家等について、市町村長が次の順で動くと定めています。

  1. 所有者等に、特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導する(第1項)。
  2. 指導をしてもなお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きいと認めるとき、修繕や立木竹の伐採など具体的な措置を勧告する(第2項)。

ガイドラインは、指導を行っていなければ勧告はできないと説明しています。まず指導で所有者の自発的な改善を促すためです。管理不全空家等には、命令や代執行は規定されていません。

特定空家等は、これより先があります。助言・指導、勧告、命令の順に進み、命令に従わないと、第30条により50万円以下の過料に処せられます。市町村は代執行をすることもできます(第22条)。

固定資産税への影響は、地方税法第349条の3の2に書かれています。住宅用地の特例は、次のとおりです。

  • 200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地): 課税標準が価格の6分の1
  • それを超える部分: 課税標準が価格の3分の1

この特例の「住宅用地」から、空家法第13条第2項の勧告を受けた管理不全空家等と、第22条第2項の勧告を受けた特定空家等の敷地が除かれます。たとえば、小規模住宅用地の価格が1,200万円なら、特例のあいだの課税標準は200万円です。勧告を受けると、特例が使えず、課税標準は価格の1,200万円で計算されます。実際の税額や、都市計画税、負担を調整する仕組みの影響は、市町村の課税担当に確かめてください。ガイドラインは、固定資産税等に都市計画税が含まれると説明しています。

ガイドラインには、もう1つ注意があります。使う見込みがなく取り壊す予定の家屋など、今後人が住む見込みがないと認められる家屋は、管理不全空家等や特定空家等に当たるかどうかにかかわらず、そもそも住宅として扱われず、特例が適用されないとされています。

売るときに起きること

庭に囲まれた木造の平屋住宅
写真: lumoplank / CC0(Wikimedia Commons)

ガイドラインは、特定空家等について、相続や売買で所有者等が変われば、前の所有者に助言・指導、勧告、命令を行っていたとしても、新しい所有者に、あらためて助言・指導から順に進める必要があると説明しています。ただし、新しい所有者が、前の所有者に勧告や命令があったことを知りつつ、措置をとれる状態だった場合は、前より短い猶予期限で進めることも考えられるとされています。

売れば手続きが白紙に戻る、と受け取るのは早計です。買主が知っていれば、短い猶予で動く場合があります。このガイドラインの部分は特定空家等の説明です。管理不全空家等については、建物かその敷地のどちらかだけが売買などで所有者が変わった場合、変わらなかった所有者への勧告の効力は続き、新しい所有者には市町村長が改めて指導と勧告を行う必要がある、とガイドラインは書いています。市町村から指導や勧告の文書が届いているなら、不動産会社と買主に伝えたうえで進めると、話が食い違いません。文書の写しは売却の相談前にそろえておきます。

名義が親のままなら、先に相続登記が必要です。期限や過料は相続登記をしていない実家を売る記事にまとめています。傷みの内容によっては、雨漏りやシロアリのある家の記事の契約不適合責任の考え方も関わります。接道や市街化調整区域などの土地の事情が重なる場合は、再建築不可の記事や市街化調整区域の記事も見てください。

空き家バンクと買取の違い

竹林の中に残る空き家
写真: Kuroshio no Neko / CC BY 4.0(Wikimedia Commons)

売り方は、不動産会社の仲介、自治体の空き家バンク、会社による買取などがあります。

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を載せて利用希望者に紹介する制度です。例として、3つの自治体の公式ページを見ます。

  • 村上市: 登録の可否は現地調査で判断し、所有者の立ち会いを求めています。すでに不動産業者に取引を依頼している物件は登録できません。相続した物件で登記の移転手続きをしていないものも登録できません。仲介する不動産会社には、別に仲介手数料がかかります。
  • 秋田市: 市と連携している協力宅建業者と媒介契約を結ぶことが前提です。登録の申込みには、媒介契約書の写しと登記簿謄本の写しを添えます。仲介には法律で定められた仲介手数料が必要です。
  • 白山市: 登記済みの物件であることが条件です。共有物件は所有者全員の合意が要ります。登録の費用はかかりませんが、売買や賃貸の契約が完了すると、法で定められた仲介手数料を負担します。

国土交通省は、LIFULLとアットホームが運営する「全国版空き家・空き地バンク」も案内しています。掲載には、売りたい人の同意が必要で、自治体の判断で掲載されない場合もあるとされています。

買取は、不動産会社が自ら買主になる方法です。買い手を探す期間を待たずに済む点が仲介との違いです。金額は会社ごとの査定で決まります。免許番号の確かめ方や比べる項目は、買取業者に査定を頼む記事にあります。管理が行き届かない家でも、現状のまま査定してもらえるかどうかは、会社に問い合わせて確かめます。

どの方法でも、自治体の窓口と不動産会社の説明が食い違わないように、市町村から届いた文書、登記事項証明書、固定資産税の課税明細をそろえてから相談します。

相談先と、先にそろえておくもの

秋田市役所の本庁舎
写真: 掬茶 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

空家法第12条は、市町村が所有者等に、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものと定めています。市町村の空き家担当窓口は、状態の確認や、利用できる制度の案内の入口になります。国土交通省のページには、所有者向けに「空き家すごろく」「住まいのエンディングノート」「空き家管理チェックリスト」が載っています。

売却の相談の前に、次をそろえます。

  • 登記事項証明書(名義と、土地・建物の登記の有無)
  • 固定資産税の納税通知書または課税明細
  • 市町村から届いた指導・勧告などの文書
  • 家の傷みの状態が分かる写真と、修繕の記録
  • 相続人の一覧と連絡先

税の特例が使えるかは、売る時期や建築年で決まります。国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の条件は、前述の相続登記の記事に書いています。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。市町村の運用や条例は地域で異なるため、お住まいの市町村の最新の案内を確かめてください。

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