空き家バンクで売る・貸すには 登録の流れと自治体ごとの条件、仲介手数料
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空き家バンクは、自治体が集めた空き家の売りたい・貸したい情報を、買いたい人や借りたい人に見せる仕組みです。売る側は、まず空き家のある市区町村の窓口に申し込みます。全国版の空き家・空き地バンクに載せたいときも、自治体を通して登録します。
登録の条件や流れは、自治体ごとに違います。仲介する不動産会社との媒介契約を求める自治体もあります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は市区町村の担当窓口や不動産会社などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
空き家バンクとは何か
空家等対策の推進に関する特別措置法の第15条は、市町村が空き家とその跡地に関する情報の提供その他、活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものと定めています。空き家バンクは、その取り組みの1つです。国土交通省の消費者向けQ&Aには、空き家バンクは各自治体が自発的に構築し開設しているもので、自治体に開設の義務はない、と書かれています。

自治体ごとの空き家バンクは、載せる項目が違い、探しにくいという課題がありました。そこで国土交通省は、自治体をまたいで検索できる「全国版空き家・空き地バンク」を作っています。
- 運営事業者は、公募で選ばれた株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社。
- 2017年(平成29年)10月に試行運用を始め、2018年(平成30年)4月に本格運用に入った。
- 国土交通省の資料では、2026年(令和8年)9月末の時点で、1,153の自治体が参加し、748の自治体が物件を掲載中。
- 自治体へのアンケートなどによると、約28,000件の物件が成約済み。
全国版を見るために、利用者の登録は要りません。ただし、気になる物件がある自治体に、利用の登録が必要な場合があります。
売る側の登録の流れ
手順は自治体ごとに決まっています。国土交通省の「空き家バンク導入のポイント集」(令和4年6月)に、宮城県石巻市の要綱が例として載っています。流れの目安として紹介します。

- 所有者が、市に登録申請書、登録カード、情報公開の同意書などを出す。
- 市が、登録事業者(宅地建物取引業者)に物件の現地調査を依頼する。
- 登録事業者が、外観や内部の状況、市場性などを見て、市に報告する。
- 市が、登録が適当と認めた物件を台帳に登録し、所有者へ通知する。
- 所有者が、登録事業者と媒介契約を結ぶ。
この例では、登録期間は2年で、期間が終わった物件は、再び申請できます。媒介契約をすでに結んでいる物件と、固定資産税を滞納している所有者は、登録できないとされています。ほかの自治体の要綱は、内容が違う可能性があります。
申請のときには、情報を公開してよいかの同意書も出します。国土交通省の資料によると、同意の際は、番地などの詳しい物件情報をどこまで公開してよいかを、所有者に確認しておく必要があります。自治体独自の空き家バンクに加えて、全国版でも公開できるように同意を得ておく、とも書かれています。石巻市の同意書の例には、購入や賃貸借の契約交渉を所有者と利用希望者の責任で行うこと、固定資産税の納付状況を市が確認することへの同意も含まれていました。
全国版に載せるには、物件を登録するときに、売りたい人や貸したい人の同意が必要です。同意がなかった物件は、掲載されないことがあります。自治体の判断で、掲載されない場合もあります。全国版へ直接の登録はできず、自治体を介して行います。
自治体ごとに違う条件
国土交通省の消費者向けQ&Aには、次の違いがあると書かれています。

- 空き家バンクを移住の促進に位置づけ、県外や市町村外からの利用希望者に限る自治体がある。
- 物件の登録に、宅地建物取引業者との媒介(仲介)契約を必須とする自治体がある。
- 取引の交渉や手続きは、当事者の責任で行う。トラブルがあっても、国や運営事業者は関与しない。
つまり、空き家バンクに載せれば売れる、という仕組みではありません。買い手や借り手を探す窓口の1つです。誰に向けて載せるのか、地元の窓口に聞いて確かめます。
国土交通省の資料には、K市の例として、自治体が相続などの問題への助言をし、外観の状態や登記情報との整合性(未登記建物の有無など)、残置物の有無を簡易に調べてから、宅地建物取引業者へ引き継ぐ流れが載っています。登記の話は相続登記の記事や未登記の建物の記事で扱っています。
費用と仲介手数料
空き家バンクへの登録自体に費用がかかるかどうかは、今回確認した国の資料に記載がありませんでした。自治体の窓口で聞いてください。

不動産会社が間に入るときは、媒介の報酬がかかります。国土交通省の資料には、自治体と宅地建物取引業者団体の協定の例があり、報酬は宅地建物取引業法第46条第1項に基づく額の範囲とされています。
2024年(令和6年)7月1日以降は、売買代金が800万円以下の宅地や建物(低廉な空家等)について、特例があります。通常の上限を超えて報酬を受けられますが、上限は30万円に1.1を掛けた額(税込)までです。国土交通省の「解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)は、この特例で報酬を受けるときは、媒介契約を結ぶ前に報酬額を依頼者へ説明して合意するよう求めています。
自治体によっては、仲介手数料や片づけ費用への補助を設けています。国土交通省の資料に、登録を促す工夫の例として、仲介手数料補助、改修費用補助、片付け費用補助が挙がっています。ただし、補助があるかどうかは自治体ごとに異なります。
貸すとき・決まらないときの考え方
空き家バンクは、売るだけでなく貸す場合にも使えます。貸すときは、契約の種類で、終わらせ方が変わります。更新のある普通の賃貸借か、期間が終わると契約が終わる定期建物賃貸借かは、借地借家法で別の扱いです。詳しくは入居者がいる家を売る記事にも書きました。

登録しても、問い合わせが来ない場合があります。そのときは、売り方を見直します。
- 地元の不動産会社に、通常の売り出しを頼む。
- 不動産会社に買い取ってもらう。
- 傷みが進んでいるときは、管理不全の状態にならないよう手を入れる。管理不全空家の記事で、勧告を受けたときの扱いを説明しています。
空き家バンクと通常の売り出しは、同時にはできない場合があります。石巻市の要綱の例では、すでに媒介契約を結んでいる物件は登録できないとされていました。どちらを先にするかは、自治体の窓口と不動産会社の両方に聞いて決めます。
出典
- 空家等対策の推進に関する特別措置法 第15条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
- 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
- 国土交通省「「全国版空き家・空き地バンク」について」(2026年9月末時点) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/002026497.pdf
- 国土交通省「全国版空き家・空き地バンク Q&A(消費者向け)」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001365984.pdf
- 国土交通省「空き家・空き地バンク導入のポイント集」(令和4年6月) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001583394.pdf
- 国土交通省「低廉な空家等(800万円以下)の媒介報酬の特例」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf
いずれも2026年11月4日に確認しました。参加自治体数や制度の内容は更新されます。申し込む前に、自治体の窓口で最新の情報を確かめてください。