訳あり不動産の売り方

袋地・無道路地を売るとき 囲繞地通行権と接道義務はどう違うか

内容の確認日: 2026年11月2日

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袋地や無道路地を売るときは、2つの別々のルールを分けて見ます。ひとつは、民法の囲繞地通行権で、他人の土地を通って公道へ出るための権利です。もうひとつは建築基準法の接道義務で、建物を建てる敷地が道路に2m以上接していなければならないという決まりです。

通行できる権利があっても、それだけで建築基準法の接道が満たされるとは、どちらの条文にも書かれていません。買主が建て替えを考えるなら、後者が売りやすさを左右します。この記事は一般的な情報で、個別の判断は土地家屋調査士・建築士・弁護士などの専門家や、役所の建築指導の窓口にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

袋地と無道路地の違い

この記事では、言葉を次のように使い分けます。

家々の間を通る細い路地
写真: 松岡明芳 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  • 袋地: 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(民法210条の言い方)
  • 無道路地: 建築基準法上の道路に接していない土地(自治体の案内の「道路に接していない敷地」)

民法210条は、他の土地に囲まれて公道に通じない土地のほか、池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に出られない土地、崖があって公道との間に著しい高低差がある土地も、同じ扱いにしています。

道路に出られても、その道が建築基準法の道路でなければ、無道路地になることがあります。建築基準法42条は、道路を原則として幅員4m以上のもの(道路法の道路、都市計画法などによる道路、位置の指定を受けた私道など)と定めています。現地に通路があっても、法の道路かどうかは役所で確かめる必要があります。

民法の通行権で決まっていること

民法の条文には、通行する権利の中身が定められています。

民家の間の細い路地
写真: 松岡明芳 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  • 210条: 公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行できる
  • 211条: 通行の場所と方法は、通行する人のために必要で、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ。必要があれば通路を開設できる
  • 212条: 通行する土地の損害に対して償金を支払う。通路の開設による損害を除き、1年ごとに払うことができる
  • 213条: 土地の分割や一部の譲渡で公道に通じない土地ができたときは、他の分割者(譲渡人)の土地だけを通行でき、償金は要らない

水道やガスなどの引き込みについては、2023年4月1日の改正で、民法213条の2が加わりました。他の土地に設備を設置しないと電気・ガス・水道水などの供給を受けられない土地の所有者は、必要な範囲で他の土地に設備を設置できます。あらかじめ目的・場所・方法を通知する必要があります。法務省の資料は、いわゆる承諾料を求められても応じる義務はないと書いています。

通行の場所や償金の額が争いになったときの扱いは、事案ごとに異なります。売る前に、専門家に事実を見せて確かめてください。私道の承諾が取れない家は、私道の持分がない家の記事にも続きがあります。

建築基準法の接道義務で決まっていること

建築基準法43条1項は、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないと定めています。国土交通省の資料も、都市計画区域内で建築するとき、敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接する必要があると説明しています。

高い擁壁の上に並ぶ住宅
写真: urawa / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)

例外は同条2項です。国土交通省の資料では、次の2つが整理されています。

  • 認定(1号): 幅員4m以上の道(農道など)に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数の用途・規模のもの(延べ面積500㎡以下で省令の用途)で、特定行政庁が認めるもの
  • 許可(2号): 周囲に広い空地がある建築物などで、特定行政庁が支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可したもの

同じ資料に、令和5年度の実績として認定が1,232件、許可が6,579件と載っています。また、許可の判断を明らかにするために、一部の特定行政庁は包括同意基準を定めているとあります。例として挙げられた横浜市の基準には、建築基準法上の道路に接続している道路状の幅員1.8m以上の空地に2m以上接していること、があります。

世田谷区の案内は、道路に接していない敷地でも、区長が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めれば、認定または許可を受けて建築できるとしています。計画の段階で事前に相談するよう案内しています。基準や手続は自治体ごとに違うため、売る土地の所在地の窓口で確かめます。

認定や許可は、土地が自動的に建築できるようになる制度ではありません。建てようとする建築物ごとに判断されます。再建築ができない土地の考え方は、再建築不可の物件の記事で説明しています。

2つの違いを並べて、売るときに確かめる

民法の通行権と建築基準法の接道義務を、表で並べました。

集落の細い路地
写真: 松岡明芳 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

項目民法210条以下の通行権建築基準法43条の接道義務
何についての決まりか他人の土地を通って公道に出る権利建築物の敷地と道路の関係
見る相手囲んでいる土地の所有者特定行政庁(自治体の建築指導の窓口)
条文に書かれた基準必要で、損害が最も少ない場所と方法道路に2m以上接する(例外は2項)
お金の定め償金を支払う(212条)条文にはなし

売る前に確かめる順番は、次のようにするとよいでしょう。

  1. 登記事項証明書と公図で、土地の形と、囲んでいる土地の所有者を確かめる。
  2. 現地で、公道や建築基準法の道路までの経路と幅を測る。
  3. 役所の建築指導の窓口で、前の道が建築基準法の道路かを確かめる。
  4. 道路に2m以上接していない場合は、43条2項の認定・許可の相談ができるかを聞く。
  5. 通る土地の所有者と、通行の方法や償金などを書面で確かめる。

売り方の選択肢

確かめた内容によって、売り方の候補は変わります。

京都・祇園の細い路地
写真: Rainer Haeßner / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)
  • 通行の書面と接道の状況を整理して、通常の売り出しに出す。
  • 隣の土地の一部を取得して道路に接するようにする。これは相手の同意が要ります。
  • 建築の制限があることを伝えたうえで、買取を扱う会社に査定を頼む。

どの場合でも、買主へは、道路への出入りの状況と、建築の制限があるかどうかを伝えます。知りながら告げなかった事実は、責任を負わない特約を契約書に書いても、責任を免れません(民法572条)。複数の会社の査定を比べ、袋地や無道路地を扱った経験を聞いておくと、見通しが立てやすくなります。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。認定・許可の基準は特定行政庁ごとに違うため、売る土地の所在地の窓口で最新の内容を確かめてください。

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