訳あり不動産の売り方

検査済証がない・容積率オーバーの家を売るとき 違反と既存不適格の違い

内容の確認日: 2026年11月2日

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検査済証がない家や、容積率がオーバーしている家でも、売ることはできます。ただし、買主に伝える内容が増え、住宅ローンの審査にも響く場合があります。先に確かめたいのは、書類が本当にないのか、容積率の超過が「違反」なのか「既存不適格」なのかの2点です。

検査済証がなくても、特定行政庁で台帳記載事項証明書を取れることがあります。容積率の超過は、建てた時点で守っていたかどうかで扱いが分かれます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は建築士や不動産会社、弁護士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

検査済証と確認済証のちがい

建築基準法は、工事に着手する前に計画が法令に合っているか確認を受けること(第6条)と、工事が終わったら検査を申請すること(第7条)を、建築主に求めています。検査で建物と敷地が法令に適合していると認められたとき、建築主に交付される書類が検査済証です(第7条第5項)。

仕上げ工事中の新しい集合住宅
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 確認済証: 工事の前に、計画が法令に合っているとして交付される書類。
  • 検査済証: 工事の後に、完成した建物が法令に合っていると認められて交付される書類。

確認済証があっても、検査済証がない家はあります。検査済証がないことは、それだけで法令違反が確定した、という意味ではありません。完成した建物が法令に合っているかどうかが、確認されていない状態です。

容積率オーバーは「違反」か「既存不適格」か

容積率は、建物の延べ面積を敷地面積で割った割合です。建築基準法第52条は、用途地域ごとに都市計画で定められた数値以下にするよう定めています。たとえば第一種低層住居専用地域では、10分の5から10分の20のうち、都市計画で決められた数値です。

公園のそばに低層の住宅が並ぶ東京の住宅地
写真: Ximonic (Simo Räsänen) / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

延べ面積の数え方にも決まりがあります。住宅の地階で、天井が地盤面から1メートル以下にあるものは、住宅部分の床面積の合計の3分の1までが延べ面積に入りません(第52条第3項)。数え方で超過かどうかが変わる場合があるため、図面で計算し直す価値があります。

容積率を超えている場合は、2つに分かれます。

  • 既存不適格: 建てたときは法令に合っていたが、その後の法改正や都市計画の変更で合わなくなった建物。第3条第2項により、改正後の規定は適用されません。
  • 違反建築物: 建てたとき、または増築したときから、法令に合っていない建物。特定行政庁は、除却や使用禁止などを命じることができます(第9条第1項)。この命令に違反すると、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています(第98条)。

確認を受けずに増築した部分があると、現在の延べ面積が確認済証の内容と合わなくなります。区別をつけるには、確認済証の図面と現況を見比べ、市区町村の建築指導課で建築当時の都市計画を聞くのが近道です。

重要事項説明で伝わる書類の有無

宅地建物取引業者は、既存住宅の売買で、書類の保存の状況を説明します。宅地建物取引業法施行規則第16条の2の3は、建築確認の申請書、確認済証、検査済証などを対象にしています。

大阪市役所の本庁舎
写真: Martin Falbisoner / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)には、次の考え方が載っています。

  • 書類の有無を説明するもので、書類に書かれた内容の説明までは義務づけていない。
  • 書類の一部がないときは、その旨を重要事項説明書に書く。
  • 売主に保存の状況を聞き、書類の有無が分からないときは、その照会で調査義務を果たしたことになる。
  • 確認済証や検査済証がなくても、特定行政庁の台帳に記載されている旨を証明する台帳記載事項証明書があれば、その旨を書いて説明するのが適切。
  • 検査済証がない住宅でも、法適合状況調査報告書が保存されていれば、その旨を説明するのが適切。

売主としては、「ない」と分かっている書類を隠す必要も、取り繕う必要もありません。持っている書類を全部不動産会社に見せ、台帳記載事項証明書が取れるかも早めに市区町村へ聞きます。

容積率などの法令上の制限は、別に重要事項説明で扱われます。建物の用途や登記の状況に問題がある物件は、未登記の建物の記事や再建築不可の記事も参考にしてください。

検査済証がないときの調べ方

国土交通省は、検査済証がない建築物の法適合状況を調べるガイドラインを、平成26年7月に公表しました。令和7年4月1日付で、「既存建築物の現況調査ガイドライン」に統合・一本化されています。解釈・運用の考え方には平成26年のガイドラインの名前が残っているため、資料によって呼び名が違う点に注意が要ります。

建築基準法のセットバックが進む東京・世田谷の道
写真: Akonnchiroll / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

現況調査ガイドラインの概要によると、調べる流れは次のとおりです。

  1. 検査済証の交付の有無と、直近の建築工事の着手時点を調べる。
  2. 現地で、現行の規定への適合状況と、着手時点の規定への適合状況を調べ、既存不適格の規定を特定する。
  3. 調査報告書を作る。改修をするときは、確認申請に使う。

このガイドラインは、増築や大規模な修繕など、改修をしようとする場合を想定しています。売主が売る前に調査を頼む必要があるとは、国の資料に書かれていません。買主が改修や建て替えを考えているときに、役立つ資料だと考えるのが現実的です。

国土交通省のページでは、調査は建築士が行うものとして想定されています。費用や期間は、今回確認した国の資料には書かれていませんでした。依頼先に確かめます。

買主の住宅ローンと売り方の選択肢

買主が住宅ローンを使うとき、金融機関が建物の法適合を見る場合があります。住宅金融支援機構の「フラット35」のページには、適合証明は建築基準法への適合を証明するものではなく、建築基準法に不適合な場合などは融資の対象とならない場合がある、と書かれています。ほかの金融機関の扱いは、機関ごとに違います。

住宅地で進む建て替え工事
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

売り方は、大きく3つに分けられます。

  • そのまま仲介で売る: 書類の有無と容積率の状況を重要事項説明で伝え、現金で買う人や、事情を理解する買主を探します。
  • 是正してから売る: 増築部分を減らすなどして、法令に合う状態に近づけます。費用と手間は、工事の内容で変わります。
  • 不動産会社に買い取ってもらう: 状態をそのまま見てもらいます。契約不適合責任の扱いは、契約書で確かめます。

どれを選ぶかは、売却を急ぐか、費用をかけられるかで変わります。複数の会社に査定を頼み、書類がない点をどう評価するか、聞いて比べます。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。台帳記載事項証明書の取り方や調査の費用は、市区町村や調査を行う建築士に確かめてください。

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