売るときの物件状況報告書(告知書)の書き方 どこまで書くか、書かないとどうなるか
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物件状況報告書(告知書)は、売主が知っている家の状態を買主に伝える書面です。書き方の基本は、知っていることを、分かる範囲で正直に書くことです。分からない点は「不明」と書き、推測で「ない」とは書きません。
民法第572条は、担保責任を負わない特約があっても、知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。書かなかったことが、あとで責任につながる場合があります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は不動産会社や弁護士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
告知書とは何か
告知書、物件状況等報告書、物件状況確認書など、呼び名は書式によって違います。国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)は、「主要な不動産関係団体の提供する告知書(物件状況等報告書)」と表現しています。今回確認した国の資料には、告知書の様式を法律で定めたものはありませんでした。

書式は、媒介する不動産会社が用意するのが一般的です。同じ名前でも、項目の数や並べ方は書式ごとに違います。4つの業界団体(全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会連合会、不動産流通経営協会、全国住宅産業協会)は、売買契約書の共通化を進めています。月刊不動産(2026年5月14日付)の記事によると、物件状況報告書と付帯設備表も共通化の対象です。2026年度上半期に共通化案を作り、共通化した売買契約書の運用は、2027年4月に始める予定とされています。
付帯設備表は、告知書とは別の書類です。国土交通省のQ&A(平成29年6月1日現在)は、付帯設備表を、エアコン、給湯設備、照明器具など、物件に付く設備の有無などを書いたものと説明しています。
書くときの基本
項目の立て方は書式で違うため、以下は、書くときの考え方です。

- 知っていることは、軽く見えることでも書く。雨漏りやシロアリの跡、設備の故障など、買主の判断に関わりうる事実です。
- いつ、どこで、どの程度かを、分かる範囲で添える。「過去に1度」「台所の天井」のように、場所と時期が分かると、買主も判断しやすくなります。
- 修理したときは、修理した事実も書く。業者の見積書や領収書があれば、不動産会社に渡します。
- 分からないことは「不明」と書く。住んでいなかった期間のことや、前の所有者のことは、知らないと正直に書きます。
- 書いたあとで気づいた点は、契約前に不動産会社へ伝え、書き直す。
国民生活センターは2021年に、自宅を売却した後で雨漏りやシロアリ被害があったとして、不動産業者から修理費用を請求されるケースを紹介しています。売主がどんな責任を負うかは契約条項で決まることが多いため、契約するときに条項を確認するよう勧めています。事例の中には、不動産業者の仲介で売却した後に、シロアリ検査でシロアリが見つかったとして、駆除費用を請求されたものがありました。
雨漏りやシロアリの話は、雨漏り・シロアリのある家の記事で、免責特約とインスペクションを含めて説明しています。
書かなかったとき・違っていたとき
民法は、売った家が契約の内容に合っていないときの買主の権利を、いくつか定めています。

- 第562条: 修補や代替物の引渡しなどの履行の追完を請求できる。
- 第563条: 追完がないとき、不適合の程度に応じた代金の減額を請求できる。
- 第566条: 買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完の請求、代金の減額、損害賠償、契約の解除ができなくなる。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この期限は当てはまらない。
- 第572条: 責任を負わない特約をしても、知りながら告げなかった事実の責任は免れない。
告知書の扱いについて、国土交通省のQ&Aは、原則として告知書の内容は「当事者の双方が確認した事項」に当たらないと説明しています。ただし、双方が告知書の記載を客観的に確認し、価格交渉や責任の免除に反映して契約に至ったときは、その内容を契約の書面に記載して差し支えないとしています。告知書にどう書いたかが、契約の内容に結びつく場合があります。
この回答は平成29年のもので、当時の「瑕疵担保」の用語を使っています。民法の改正後の「契約不適合」にそのまま当てはまるかどうかは、今回確認できませんでした。
不安に思ったときやトラブルになったときは、消費生活センターに相談できます。国民生活センターは、消費者ホットライン「188」を案内しています。
人の死に関する項目
国土交通省のガイドラインによると、媒介する宅地建物取引業者は、売主に告知書などで過去の事案の記載を求めることで、調査の義務を果たしたものとされます。売買の告知書には、主要な団体の書式で、すでに事件・事故などの項目が含まれていると、ガイドラインは書いています。

ガイドラインが示す考え方は、次のとおりです。
- 老衰や持病による病死などの自然死、日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよい。
- ただし、長期間放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、告げる対象になる。
- 買主から事案の有無を聞かれたときは、経過した期間や死因に関わらず、判明した点を告げる必要がある。
- 売主が故意に告げなかった場合は、民事上の責任を問われる可能性がある。この点は、仲介する業者が売主にあらかじめ伝えることが望ましいとされている。
- 告知書は、後日トラブルになったときの証拠資料になりうる。
知っている事案がある場合は、告知書に書き、不動産会社と相談します。詳しい範囲は、事故物件の告知義務の記事と孤独死があった実家の記事で扱っています。
建物状況調査と付帯設備表との関係
建物状況調査(インスペクション)の報告書と告知書が両方あるときの扱いも、国土交通省のQ&Aに載っています。原則は、建物状況調査の結果の概要が「当事者の双方が確認した事項」になります。雨漏りなどの内容が、調査結果と告知書で食い違うときは、契約の前に、その情報をどう扱うか当事者で確認して合意することが、トラブル防止の点から望ましいとされています。

付帯設備表の内容は、契約の書面(37条書面)に記載する必要はないとされています。ただし、売買契約書に付帯設備表の内容を書くことは、妨げられていません。
不具合が多く、仲介での売却が難しそうなときは、直してから売る方法と、現状のまま買い取ってもらう方法を、査定を取って比べます。
出典
- 民法 第562条・第563条・第566条・第572条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf
- 国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」(平成29年6月1日現在) https://www.mlit.go.jp/common/001201152.pdf
- 国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」(2021年6月24日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20210624_1.pdf
- 月刊不動産(全日本不動産協会)「不動産売買契約書等の共通化に向けた取り組みについて」 https://magazine.zennichi.or.jp/news/association/24442
いずれも2026年11月4日に確認しました。書式の項目は、媒介する不動産会社や団体によって違います。実際に書くときは、渡された書式の記入要領を読んでください。