土壌汚染のおそれがある土地を売るとき 土壌汚染対策法の調査の場面と区域の確かめ方
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土壌汚染のおそれがある土地を売る前に、まず確かめるのは、その土地が土壌汚染対策法の「区域」に指定されているかどうかです。指定の有無は、都道府県などが管理する台帳で調べられます。台帳の閲覧を、正当な理由なく拒むことはできないと、法律に書かれています(15条3項)。
法律が調査を求める場面は、条文で決まっています。土地を売ること自体を理由に調査を求める規定は、この記事で確かめた条文(3条〜5条、14条)にはありませんでした。この記事は一般的な情報で、個別の判断は土壌汚染の調査を行う指定調査機関、弁護士、都道府県などの担当窓口にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
法律が調査を求める場面
土壌汚染対策法は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握と、人の健康被害の防止に関する措置を定める法律です(1条)。特定有害物質には、鉛、砒素、トリクロロエチレンなどが含まれます(2条)。

調査を求める主な場面は次の3つで、自主的な調査の仕組みが4つ目にあります。
- 3条: 有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき。その工場や事業場の敷地だった土地の所有者等で、施設を設置していた人などが、調査して知事に報告する。予定されている利用の方法から健康被害のおそれがないと知事の確認を受けたときは除く
- 4条: 一定規模以上の土地の形質の変更をするとき。着手の30日前までに知事に届け出る。知事が汚染のおそれがあると認めれば、調査を命じられる
- 5条: 土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがあると知事が認めるとき、調査を命じられる
- 14条: 自主的に調べて汚染が見つかったと考えるとき、土地の所有者等が区域の指定を申請できる
4条の「一定規模」は、施行規則22条で3,000㎡とされています。現に有害物質使用特定施設がある工場・事業場の敷地などでは、900㎡です。形質の変更とは、土地の掘削その他の形質を変えることです(3条7項)。
売ろうとする土地がこれらの場面に当たるかは、土地の過去の使われ方と、買主が予定する工事の規模で変わります。
区域に指定されたときの扱い
調査の結果、基準を超える汚染が見つかると、都道府県知事は土地を2種類の区域のいずれかに指定します。環境省の資料は、次のように整理しています。

- 要措置区域(6条): 汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。所有者等は、知事から指示された内容で汚染除去等計画を作り、措置を行う。土地の形質の変更は原則禁止
- 形質変更時要届出区域(11条): 摂取経路がなく、健康被害のおそれがないため、除去等の措置は不要な区域。土地の形質の変更をするときは、着手の14日前までに知事へ届け出る(12条)
どちらの区域も、都道府県知事が台帳を作って保管します(15条)。指定の事由がなくなったと認められたときは、区域の指定は解除されます。
区域内の土を外へ運び出すときも決まりがあります。搬出に着手する14日前までに届け出なければならず(16条)、汚染された土の処理は、許可を受けた汚染土壌処理業者に委託します(18条)。建物を壊して造成する予定の買主には、この点が費用に影響します。
売る前に確かめる順番
売る前の確認は、次の順番が考えやすくなります。

- 都道府県や政令市などの担当窓口で、土地が要措置区域・形質変更時要届出区域の台帳にあるかを確かめる。
- 土地の過去の使い方を整理する。工場、クリーニング店、ガソリンスタンドなど、特定有害物質を扱った可能性があるかを書き出す。
- 登記事項証明書や古い地図、契約書、近隣への聞き取りなど、使い方の根拠になる資料を集める。
- 調べる必要がありそうなときは、指定調査機関に調査を頼むかどうかを検討する。
- 調査結果が出たら、14条に基づく区域指定の申請をするかを、専門家と相談する。
環境省の「自主申請活用の手引き」(平成23年7月)は、区域の指定を申請するメリットと留意点を整理した資料です。古い資料なので、現在の扱いは窓口で確かめてください。
また、都道府県や市が条例で独自の手続を決めている場合もあり得るため、所在地の窓口に、売る土地が条例の対象かを聞いてください。
汚染があったときの費用と、契約での扱い
汚染の除去等の措置は、原則として土地の所有者等が行います。ただし、要措置区域で知事の指示を受けた所有者等が措置を講じた場合に、汚染が所有者等以外の人の行為によるものであれば、その費用を、その行為をした人に請求できます(8条)。この請求権は、措置を講じ、かつ行為をした人を知った時から3年、または措置を講じた時から20年で、時効により消滅します。

売買契約では、汚染が契約の内容に適合しない事情にあたるかが問題になり得ます。民法562条は、引き渡した物が契約の内容に適合しないとき、買主が履行の追完を請求できるとしています。563条は代金の減額、566条は、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと請求できなくなると定めています。
特約で責任を負わないとしても、売主が知りながら告げなかった事実は、責任を免れません(民法572条)。汚染の履歴や調査の結果を知っているなら、契約の前に買主へ伝え、契約書に書いておきます。どこまでが契約の内容に含まれるかは、個別の契約で変わるため、契約前に専門家へ確認してください。
調査して売るか、現状のまま売るか
汚染のおそれがある土地の売り方は、大きく2つに分けて考えます。

- 調査してから売る: 結果が出るため、買主へ説明できる範囲が広がる。調査の費用と時間がかかり、基準を超える汚染が見つかれば、区域の指定や措置の話に進む可能性がある
- 調査せず、現状の条件で売る: 費用と時間は抑えられるが、汚染の有無が分からない状態で契約することになる。契約書に、状況をどう書くかが重要になる
どちらがよいかは、土地の使われ方の履歴、買主の利用計画、売る時期で変わります。通常の買い手が見つかりにくい土地は、複数の会社に査定を頼み、土壌汚染の疑いがある土地を扱った経験があるかを聞いて比べます。傷みや権利の問題が重なる土地の見方は、管理不全の空き家の記事やゴミ屋敷の記事にもまとめています。
出典
- 土壌汚染対策法(e-Gov法令検索・1条〜8条、11条、12条、14条〜16条、18条) https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000053
- 土壌汚染対策法施行規則(e-Gov法令検索・22条) https://laws.e-gov.go.jp/law/414M60001000029
- 環境省「土壌汚染対策法の概要」 https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/pdf/06-chpt4.pdf
- 環境省「土壌汚染対策法の自主申請活用の手引き」(平成23年7月) https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_app/tebiki.pdf
- 民法(e-Gov法令検索・562条、563条、566条、572条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
いずれも2026年11月4日に確認しました。法令は改正されることがあるため、手続の前に最新の条文と担当窓口の案内を確かめてください。