訳あり不動産の売り方

認知症の親の家は売れる? 成年後見と居住用不動産の売却許可の流れ

内容の確認日: 2026年11月2日

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親が認知症でも、実家を売れる場合はあります。ただし子が代わりに契約することはできず、親本人の判断能力が足りないときは、家庭裁判所が選んだ成年後見人が親に代わって売ります。その場合、親が住んでいた家やその敷地を売るには、後見人が家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法859条の3)。

許可を得ずに売ると、その売却は無効になります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は弁護士・司法書士などの専門家や、市区町村の相談窓口にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

認知症というだけで売れなくなるわけではない

民法3条の2は、契約をした時に意思能力がなかった人の法律行為は無効と定めています。診断名で決まるのではなく、売買の内容を理解して判断できる状態かどうかが問われます。その判断は、個々の状況を見て行われます。

住宅が並ぶ住宅地
写真: Peka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

判断能力が十分でない人を支える成年後見制度には、補助・保佐・後見の3つがあります。裁判所の案内では、後見の対象は「判断能力が欠けているのが通常の状態の方」です。民法7条も、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見開始の審判をすることができると定めています。

後見が始まると、本人は成年被後見人になり、成年後見人が付きます(民法8条)。後見人は本人の財産を管理し、その財産に関する法律行為で本人を代表します(民法859条)。親の家を売る契約書に署名するのは、この後見人です。

成年後見の申立てから後見人が決まるまで

後見を始めるには、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てます。裁判所の案内では、申立てができるのは本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長などです。申立先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

裁判所の法廷
写真: Saya10 / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

費用として、裁判所のページには次の項目があります。

  • 申立手数料: 収入印紙800円分
  • 登記手数料: 収入印紙2,600円分
  • 連絡用の郵便切手: 裁判所ごとに額が違う
  • 鑑定費用: 鑑定が必要な場合に、申立人が負担することがある

必要書類には、申立書、本人の戸籍謄本、診断書と本人情報シートの写し、財産資料(預貯金の残高や不動産登記事項証明書など)があります。申立てから審判までの期間は、裁判所のページに書かれていないため、申立先の家庭裁判所に確かめてください。

売却のために始めるときに、先に知っておきたい点が3つあります。

  • 後見人を選ぶのは家庭裁判所です。申立書に書いた候補者が選ばれるとは限らず、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。選ばれなかったことを理由に不服を申し立てることはできません。
  • 申立書を出したあとは、家庭裁判所の許可がなければ取り下げられません。
  • 後見は、家を売り終えても続きます。裁判所の案内では、本人の能力が回復するか本人が亡くなるまで続き、家族の意思でやめることはできません。

後見人の報酬は、家庭裁判所が決めて、本人の財産から支払われます(民法862条)。

居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可がいる

民法859条の3は、成年後見人が本人の居住の用に供する建物またはその敷地を、売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定などで処分するときは、家庭裁判所の許可を得なければならないと定めています。

低層の住宅が並ぶ住宅地
写真: Ximonic (Simo Räsänen) / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

裁判所のページによると、許可の対象は売却だけではありません。抵当権の設定、賃貸借の締結や解除、建物の取り壊しも含まれます。許可を得ないでした処分は無効です。

親が病院や施設に入っていて、いま住んでいない場合も注意が要ります。裁判所のページは、入院や入所の前に住んでいた家や、将来住む可能性のある家も居住用不動産に含まれるとしています。

許可の申立ての内容は、次のとおりです。

  • 申立人: 成年後見人。保佐人・補助人は、不動産を処分する代理権が付与されている場合に限る
  • 申立先: 後見開始の審判をした家庭裁判所
  • 手数料: 収入印紙800円分と、裁判所ごとに違う郵便料
  • 添付書類: 申立書、処分の必要性を示す資料(契約書の写し、不動産の評価証明書、売却なら不動産業者が作った査定書)、登記事項証明書など

審理の中で、追加の書類を求められることもあります。売る家が親の唯一の住まいかどうかなど、書類の細かな扱いは裁判所によって案内が分かれます。申立てをする家庭裁判所のページを、先に確かめてください。

査定を取り、契約の前に許可を受ける

許可の申立てには、売却なら不動産業者の査定書が添付書類に挙がっています。査定書は、売る値段の根拠として家庭裁判所に出す書類です。複数の会社に査定を頼み、数字の理由まで聞いておくと、申立ての準備がしやすくなります。

戸建ての住宅が続く住宅地
写真: Peka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

手続きの順番では、許可がないと処分が無効になる点が最も大きく響きます。許可を受ける前に、確定的な売買契約を結ばないようにします。契約書の案を先に作り、許可を得てから契約する進め方になるかどうかは、申立先の家庭裁判所の案内で確認します。

親の家が、傷みやゴミ、権利関係などの事情で一般の売り方に向かない場合は、買取を扱う会社の査定も比べる材料になります。事故物件の買取査定の記事には、会社を比べる項目をまとめています。

売る前に確かめたいことと相談先

後見の申立ては、家を売ると決めてからだけでなく、その前の相談から始められます。厚生労働省の成年後見制度のサイトによると、市区町村の中核機関、地域包括支援センター、社会福祉協議会、専門職の団体などで事前に相談できます。相談できる内容は、手続きの方法、必要な書類、後見人になってくれる人についてです。

秋田市役所の庁舎
写真: 掬茶 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

同じサイトは、判断する力が弱くなる前に自分で決めておく任意後見制度にも触れています。同サイトは、任意後見と法定後見では手続が異なるとしています。すでに判断能力が低下している親にどちらが使えるかは、窓口で聞いてください。

家を売る前に、次の点を書き出しておくと相談が進みます。

  • 家の名義は誰か(親か、すでに亡くなった人のままか)
  • 親が今どこで暮らしているか(自宅、病院、施設)
  • 売る理由と、売ったお金を何に使う予定か
  • 他に相続人になる人はいるか

名義がすでに亡くなった人のままの場合は、相続の手続きが先に必要です。登記が済んでいない家の売り方は、相続登記をしていない実家の記事で説明しています。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。手数料や郵便料は変わることがあるため、申立ての前に各家庭裁判所のページで確かめてください。

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